2024年6月から山梨県で「ベトナム人労働者家族向け医療傷害保険」制度がはじまります。
日本人から集めたお金をベトナムでベトナム人が使い放題になるのか!?大問題だ!
との声があがっています。
その真相について、詳しく解説していきます。
旧帝大医学部卒業後、研修期間を経てバリバリの外科医をしていました。日本の医療現場の実情を目の当たりにして転職・転科。日本の医療の問題点について発信しています。
山梨県の「ベトナム人労働者家族向け医療傷害保険」制度とは
日本の「公的医療保険」を用いるわけではないのですが、この制度に山梨県からの補助金が大きな割合で投入されます。そのことが問題視されています。
山梨県民の皆さまのお金で、山梨県で働いているベトナム人労働者の母国に住む家族の医療費を負担する制度です。
日本人が納めたお金で、ベトナムに住むベトナム人を治療するのです。
山梨県の方々が納得しているならいいのですが、そうでなければ大問題です。
また、制度自体の仕組みに大きな問題があり、あまりにも性善説に依存しているのです。
そのことについては後で解説します。
まずは、制度の基本情報を整理します。
制度の背景
山梨県の人口減少と外国人受け入れ
山梨県では人口減少を背景に、経済や地域社会の担い手として、外国人材を受け入れています。
外国人にとって山梨県がより魅力的となることで、外国人の流入を増加させたいとの意気込みで、今回の制度がはじまります。
外国人の受け入れはベトナムからが最多
山梨県内の外国人労働者数は2023年10月末時点で、ベトナムからの受け入れが3,019人と最多です。
2023年9月に姉妹友好県省を締結したクアンビン省をはじめベトナム全土から、今後さらなる山梨県への労働者の流入を狙っています。
ベトナム人が安心して山梨県で働けるように
ベトナム人労働者の皆さまに、山梨県で安心して働けるようにしたいと、
母国在住の家族を医療面から支える山梨県独自の保険制度を、東京海上ベトナムと連携して構築するに至ったようです。
制度の概要
加入対象者
「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」に参加している企業・団体に勤務しているベトナム人の方
「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」とは
このネットワークに企業・団体が所属することで、ベトナム人労働者に対する保険料の企業負担分について、山梨県から補助金が受けられるというものです。
2020年に設立されていて、今回の制度のために4年間の準備期間があったようです。
外国人労働者家族医療傷害保険加入支援事業費補助金
今回の制度で出される補助金の名前です。
山梨県にあるベトナム人従業員を抱える企業・団体が
- 「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」に参加していること
- 「東京海上ベトナム」の保険料額の4分の3以上を補助・助成していること
を条件に、
保険料の企業等負担額の半分を山梨県から補助金を出資する
というものです。
「東京海上ベトナム」の保険の内容
「やまなし外国人労働環境適正化推進ネットワーク」に参加している企業・団体に勤務しているベトナム人の母国の家族が、通院、入院が必要となった時に、医療費の実質自己負担が1割となります。
ベトナム国内全ての医療機関が対象となります。
山梨県の「ベトナム人労働者家族向け医療傷害保険」制度の問題点
制度の問題点を考察します。
ここからは筆者の個人的な意見や思想も入ってきますので、その前提で読んでいただけると幸いです。
日本のお金でベトナムにいるベトナム人の治療を行う
ベトナム人労働者を増加させるために制度とはいえ、やり方に違和感があります。
日本人がベトナムで働いていたとして、日本にいる家族が日本の病院で治療を受けた時に、ベトナムのお金で治療してもらえることがあるでしょうか?
あり得ませんよね。
- 日本で働くベトナム人が、国内の医療保険で医療を受ける
→わかる。ぜひ。 - 日本で働くベトナム人が、国内にいる家族に医療保険が適用される
→わかる。 - 日本で働くベトナム人の、ベトナムにいる家族に日本の医療保険が適用される
→さすがに違和感あり。
公金チューチュービジネス
この違和感のある制度、誰が得するでしょうか?
ベトナム人に加えて、「東京海上ベトナム」ではないでしょうか
公金を用いた違和感のあるビジネスです。
いわゆる「公金チューチュービジネス」ですね。裏で何か取引があったのではないかと勘ぐりたくなります。
性善説に依存しすぎている
「東京海上ベトナム」の保険が適応されるベトナム人と医療機関が結託して、
「病気になったことにして、治療したことにする」ということをすれば不正に保険金を手に入れられます。
良心を捨てれば、日本人が収めた税金をベトナムでもらい放題です。
外国の医療機関を日本の法では裁けません。そもそも調査すらできず、バレようがないように思います。
このようなことを検証している情報は山梨県のホームページで見つけられませんでした。
やられ放題です。
実は日本の公的医療保険も問題だらけです
実は外国人が日本人の収めた税金や保険料を使って「医療のタダ乗り」をしている問題は元々あります。
日本の公的保険制度「国民皆保険制度」の問題点の一つです。
母国で病気になり治療費が払えず治療を受けられない外国人が、日本に渡航し住民票を得て「国民皆保険制度」による治療を受けていることがあります。
治療が終わったら母国に帰ります。これだとほとんど日本に税金を納めずに済みますね。
日本になんのメリットも与えずに、ただ日本人のお金を使って治療だけする
そんなことが可能なのです。
中国には、日本の先進医療を日本の医療保険を適用して受診するための手続き解説のサイトが多数あるようです。
「国民皆保険制度」には深い問題が他にも数多くあります。
大幅な改革が必要です。
まとめ
ただでさえ、日本の税金・保険料はいいように外国人に使われています。
性善説に依存しすぎなのです。
すでに外国人の「医療のタダ乗り」が多くあることから、性善説への依存は無理だと証明されています。
なぜ、同じ失敗を繰り返すのでしょうか。
山梨県民の方々は納得しているのでしょうか…?
ともあれ、制度が始まるのは決定のようなので、ベトナム人労働者が増加して山梨県の発展に繋がりWin-Winとなることを願うしかありません。
そして「悪いベトナム人」が1人もいないことを祈るばかりです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
当ブログではこういった日本の医療の実情を医師の目線で発信しています。
興味を持っていただけた方はぜひ他の記事も読んでいただけると励みになります。
コメント