医師の年収はこれから下がって割に合わない?医師の将来性は?【まだ大丈夫!】

医師の年収はこれから下がって割に合わない?医師の将来性は?

医師といえば高給取りのイメージがありますが、これからは給料、年収が下がると言われています。

医師の将来性について不安に感じている研修医や若手の医師が多いです。

確かに、一部の医師の待遇の悪化は避けられませんが適切な行動を取ればまだまだ医師は安泰な職業です。

本記事の内容
  • 医師の年収について
  • 医師の年収が下がる理由について
  • 医師の将来性について
  • 研修医や若手の医師がこれから取るべき行動について

医師の中でも特に勤務医について解説します。

外科医aru

旧帝大医学部卒業。外科医を全力で務めあげたのちに、脱医局、転職。医師の転職の素晴らしさに気づき、同じように人生がより良いものになる医師を増やしたいとの思いで情報発信しています。

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医師の年収について

勤務医の平均年収は1,428.8万円

厚生労働省が公表している、「令和4年賃金構造基本統計調査」によると勤務医の平均年収は1,428.8万円(令和4年)です。

高給取りと言える年収ですね。

勤務医の平均年収

調査年度男女計男性女性
令和4年
(平均年齢、勤続年数)
1,428.8万円
(44.1歳、6.2年)
1,514.8万円
(45.6歳、6.6年)
1,138.3万円
(39.1歳、4.7年)
令和3年
(平均年齢、勤続年数)
1,378.3万円
(45.3歳、7.7年)
1,469.9万円
(46.8歳、8.0年)
1,053.7万円
(39.9歳、6.4年)
令和2年
(平均年齢、勤続年数)
1,440.3万円
(45.5歳、7.1年)
1,522.5万円
(47.2歳、7.9年)
1,188.3万円
(40.6歳、5.0年)
令和元年
(平均年齢、勤続年数)
1,169.2万円
(40.7歳、5.2年)
1,226.9万円
(41.6歳、5.5年)
1,016.4万円
(38.2歳、4.4年)
厚生労働省「賃金構造基本統計調査」をもとに作成

男性医師と女性医師の年収差について

男性医師に比べると女性医師の年収は低い結果となっています。

年収の男女差が生じてしまう理由は以下が考えられます。

  • 女性医師の平均年齢が男性医師より低い
  • 男性医師の数の方が多く、その分給与の高い要職に就く男性医師も多い
  • 子育てや介護などで時短勤務中の医師の割合が、女性医師の方が多い

医師の年収の地域差について

勤務医の年収は一般的な会社員とは逆で、「都市部では年収が低くなり、地方で年収が高くなる」傾向があります。

地域による医師の平均年収の差は、「医師が不足している地域で年収が高くなりやすい」ということが理由です。

医師は都市部に住みたがる傾向があるため、都市部で医師があまり、地方で医師が不足します。

医師不足が深刻な地域や医療機関では、医師を確保するために給与水準が高く設定されています。若い医師であっても高額の年収が期待できます。

経営母体による医師年収の違いについて

法人、県や市町村などが運営する市中病院は勤務医の年収が高い傾向にあります。

対して大学病院では年収が低い傾向にあります。

外科医aru

大学病院の勤務医はコンビニバイト以下の時給というのはよくあることですね。

医師の年収がこれから下がる理由について

なぜこれから医師の年収が下がると言われているのか、

  • 医師の働き方改革
  • 少子高齢化による医療費の増大
  • 診療報酬改定
  • 医師の年収に対する世論

について理解することで、みえてきます。

医師の働き方改革

医師の長時間労働を改善させるために始まった「医師の働き方改革」ですが、結果として労働時間を「労働していない」ことにして給料だけ減らされたケースが多いです。

労働時間を「自己研鑽」として扱って給料カット。

「宿日直許可」などどいう制度までつくって厚生労働省が悪徳病院の味方をしてしまう始末。医師の労働環境を改善しようとする姿勢がみられません。

今後も医師の労働環境は改善されることなく、年収は下がっていく流れになるでしょう。

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「働き方改悪」と言われていますね。厚生労働省は今後も医師の味方になるつもりはないと思います。

少子高齢化による医療費の増大

日本は国民皆保険制度により医療費は税金と保険料による公費負担がほとんどです。

高齢化によって医療費が増大するが、その費用を負担する現役世代の割合は減少する悲惨な状況。

保険診療の内容の見直しを本来行うべきなのですが、国としては医療関係者の給料カットでこの状況をなんとかしようとしているようです。

診療報酬改定

保険診療は「診療報酬」により医療行為の値段が決められてます。この値段により、医師、その他医療関係者の給料が左右されます。

「診療報酬」は2年に1回見直され、改訂されます。どのように改定されたかで、国が保険医の給料を上げたいのか、下げたいのかがわかります。

2024年も診療報酬改定が行われました。改定率が+0.88%で、全体としては少し診療報酬が上がりました。

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これで、「上がったじゃん!!」は浅はかです。ちゃんと考えましょう。

日本は23年度のインフレ率は+2.7%、24年度のインフレ率(予測)は+2.5%です。

2年で+5.7%のインフレ

にもかかわらず、診療報酬本体の改定率が+0.88%ということは、

実質は2年で−4.32%のマイナス改定

実質の診療報酬マイナス改定。社会保障費増の穴埋めは医療関係者の相対的な給料カットで対応する方針のようです。

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医療業界は斜陽です。企業はインフレに合わせてちゃんと給料のベースアップを行なっていますね。

医師の年収に対する世論

勤務医の年収は、資格取得の難易度や仕事内容から考えると日本では非常に低いと言えると思います。

海外の勤務医の年収を考えれば、特に専門医取得後の年収が低くて割に合わないことは一目瞭然です。

しかし、日本の世論は「医師の給料は高過ぎる」という厳しいもの。

厚生労働省、財務省もあの手この手で医師の給料をカットしにかかるわけです。

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医師の将来性について:王道勤務医は厳しい

医師の「王道」である、医局に所属して勤務医として働くことの将来性は、残念ながら乏しいと言わざるを得ない状況です。

年収は相対的に下がっていく見込みであることはここまでに解説しました。

  • 訴訟リスク
  • やりがい
  • 社会的評価

に関しても厳しい状況です。以下で解説します。

医師の訴訟リスクについて

日本は医療に対する司法、報道の質が著しく低いため、

どんなに誠心誠意医療と向き合い、過失のない医療を行なっても「天災」のごとく医療訴訟に巻き込まれます。

医師賠償保険で金銭面は大丈夫でも、実名報道されて大きな社会的制裁を受けますし、時間もかなり取られます。

医師が悪いことをしなくても。「天災」なので避けようがありません。

知らない先生は過去の医療訴訟に関しては知っておいた方がいいです。こちらで解説しています▼

やりがいについて

「王道」の医師は人命救助に関わることが多く、一見やりがいはあるように思われます。

しかし、現実としては

  • 歯止めのかからない「過剰医療」への加担
  • 寝たきり高齢者への虐待とも取れる延命的治療
  • これらを公費で行う

こういったことが仕事の多くを占めており、やりがいを感じるのは難しいと感じている先生もいるのではないでしょうか。

普通の感覚を持っていたら「こんな医療していていいのだろうか」と感じる場面は非常に多いはずです。

しかし日本の医療現場はこの感覚が麻痺している人が多いです。また、医療訴訟のリスクから「こんな医療」をやらざるを得ない。

この傾向は今後も悪化しそうです。

医師の社会的評価について

「医師の年収は高すぎる」という世論にさらされていることはすでに述べましたが、医師に対する社会的評価は時代とともにどんどん厳しくなっています。

理不尽な医療訴訟や医療報道により日本の医療のイメージは不当に悪くなっています。

「過剰医療」をうんでいるのは「医療訴訟」や「保険医療制度」ですが、世間的には「医者が過剰医療をやっている」というように見えいています。

厳しい状況なのは「王道」医局勤務医

医師の間で「王道」と認識されている医局勤務医は大学病院や大きい病院で人命救助の最前線に関わっていることが多いです。今まで解説してきたことの被害を受けやすい働き方です。

「王道」で働いていると視野は狭くなりがちですが、視野を広げれば医師の将来性はまだまだ大丈夫です!

「王道」医局勤務医の厳しい状況についてはこちらでもっと詳しく解説しています▼

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研修医や若手の医師がこれから取るべき行動について

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まとめ:医師の年収や将来性について

一部の医師は厳しい状況

「王道」と認識されている医局勤務医のこれからは厳しい状況と言わざるを得ません。

本当はもっと報われるべき「王道」医局勤務医はこれからもどんどん待遇が悪化していきます。

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